森の中で深呼吸するように
思いっきりその愛おしい空気を吸いこもう
ねこのにおいはみんな違う
みんな違ういいにおいがする
そしてにおいにも物語がある
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きりっとした白さに縞模様の
コントラストが美しい子
風に乗って洗濯物のいいにおい
香ばしいナッツを頬張りながら、
古書店でみつけた本の時代の香りを楽しむ
何度も確かめたくなるような
野生の強くも優しい香り…

綿あめのようなふわふわな白い毛に
明るい茶色が映える快活な子
箪笥のにおいがいっぱいに染みついた
浴衣を着て、足取りも軽く神社のお祭りへ
りんご飴やたこやきのわくわくする香り
神社の隅には空になった猫缶が
そのまま置かれている…

計算されたように規則的な縞模様が
きれいな自由奔放な子
驚くほどにおいがしない
慣れ親しみすぎて自分では何のにおいも
感じなくなった家の香りのよう
においを見つけようと嗅げば嗅ぐほど
逃げられるような気分になる…

真っ黒で艶のある毛並みをした
控えめでビビりな子
強く青々とした芝生に寝転がり
誰かの外国土産にもらった
チョコレートにかぶりつく
包み紙の甘い香りと指に残る
さっきまで食べていたおせんべいの
甘じょっぱい香りがたまらない…

今日はどの物語の続きを嗅ごうかな…


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