うちのユメちゃんのお話し。
この子が私の邪魔…いや、私にアピールをするとき
その理由はただひとつ、
「お腹が空いた」
そのときだけ。
それ以外は、基本構ってくれるなという顔をしている。
至近距離でずーっとみつめていても、なでなでしても、
肉球や頭やほっぺにチュッチュしまくっても、
顔色ひとつ変えない。
一点をじーっとみつめながら、ただ私の嫌がらせが終わるを
静かに待っている。
そんなユメちゃんも、お腹が空いて何か食べたくなると
別猫のようになる。
シンバルを持ったおさるさんのぬいぐるみに、ひさしぶりに電池をいれたら
勢いよく動き出すように、
とつぜん活発になる。
私の前を右から左、左から右へとひっきりなしに往復する。
時折り立ち止まり、何も言わずにこちらをチラっとみては、
また往復を繰り返す。
まるでひと昔まえの出産を待つ夫のように。
私はいつもの仕返しのようにしばらく無反応でいると、
今度は私の上を横断しはじめる。
「わかった、わかった、何か食べたいのね」
と私が動くとでも思って、
何度もいろんな角度からまた横断を繰り返す。
すこしほほえみながら、それでも我慢して無反応を続ける。
すると、最後の手段とばかりに、
テレビと私の丁度いい位置に座り込み、
くもりのない綺麗なビー玉のような瞳で私をみつめ、
無言の訴えにでる。
まばたきひとつしない、その真剣すぎるまなざし。
思わず吹きだして声を出してユメちゃんの勝利を認める。
「さぁて、何が食べたいのかな?」


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