花火大会が終わると「あ~もう夏も終わりだなぁ」と
毎日暑さに顔をしかめていた日々に未練を感じる。
花火大会が行われる河川敷に近い場所にある家の窓からは
大輪の花火を会場そのままの迫力でみることができる。
夜空にスワロフスキーを思いっきり散りばめたように
輝く花火、かすかに聴こえてくる会場の音楽や進行の声。
家が小刻みに震えるほどの爆裂音にココロが躍る。

この河川敷で花火大会が行われるのは2年ぶり。
毎年豪雨に見舞われて2年も夏の風物詩がない夏だった。
なおさら嬉しい今年の花火。
階段を上り下りする音にもウキウキするメロディーが出るぐらい、
久々の打ち上げ花火を楽しんでいた。
ひと際多くの花火がリズムよくタイピングをするように
ポンポンポンポンポンッと下の舞台を整えると、
主役の2尺玉が堂々と打ち上がりここしかないという場所で
今までの無念を晴らすように夜空いっぱいに花開く。


大歓声と割れんばかりの拍手にまだまだといわんばかりに
一気に残りの玉をこれでもかというほど打ち上げて、
目のまえが昼より眩しい光の競演に包まれる。

名残惜しそうにちらちらと揺れながら漂う残り火。
「終わっちゃったね~」
ここからみる花火も今年が最後かもしれない、そんな想いも
あってしばらく余韻にひたっていた。
一方、猫たち。
花火大会開催の1時間前、突然の爆発音で一斉に避難姿勢。
しっぽを丸めて床にお腹がつくぐらい低く姿勢を保ったまま、しばらく
様子をうかがう。
爆発音が続かないことを確認して、緊張をほぐすように毛づくろいをする。
なんだかヤな予感。
しばらくするとまた同じ爆発音。
何が起こっているのか、何がはじまったのか。
雨は降っていない。でも雷のような爆音と細かい振動。
それぞれの安全な場所に身を隠し、ただただそれが去るのを
ジッと待った。
ここ2年は静かな夏を過ごしていたので、なおさらこの音と
目が潰れてしまうような光に恐怖しか感じない。
アイツは何をそんなにウキウキとしていられるのか。
ワケがわからない。
音と光の大会が終わり、ぞろぞろと1階へあつまる。
まったく違う余韻を味わいながら、いつもの夜へと戻っていく。

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