あてにならないならない頭数

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朝、家を出るときには晴れていたのだ。
9月になりたてで空はまだ真夏のままだった。

仕事を終えて会社を出ると、アスファルトが所どころ濡れていた。
夕立でも降ったかな。

雨のせいか、むわっととした空気が地面から沸いている。
風もなく、そこにとどまっている湿った空間のなかを進んでいく。

(降ったね。でもこのぐらいの風ならもしかしたら無事かも…。)

車に乗って、道路の濡れ方を確めながら
全開にしてきた2階の窓をそーっと考える。

途中でドラッグストアへ寄って買い物をして、
店から出ると一気に空が暗くなっていた。
ぽつりぽつりとしっかりした雨が頬にあたる。

やっとすこし焦りを感じ、買うはずだった牛乳を諦めて
家へと急いだ。

家に着くなり使い古しの布を持って2階へ駆けあがる。
帰ってからの行動がいつもと違うことに、猫たちも
何かワクワクしたものを感じているのか、楽しそうに
一緒に階段をかけあがる。

「なに?なに?どしたの?なにがあるの?」と声が聞こえてきそう
なほどワイワイしている。

「あ~…、だいぶ…やね。」

ちょっとぐらいであってくれと願った期待はみごとに裏切られ、
寝室の床はだっぷり濡れていた。

「私が悪いんだよ。そうだよ。でもさ、今日の朝あんなに天気よかったじゃん?
今日雨降るなんて言ってた?天気予報見たよね?それにさ、窓閉めていったら
あなたたち暑いでしょ?っていうかさ、きみたち4匹もいてさ、誰か1匹でも
窓閉めてくれたらよかったのに…。もしくはみんなで協力してさ…。」

ぶつぶつ言いながら拭いても拭いても水が沸いてくるような
床と格闘していると、ワクワクしながら一緒に駆けあがってきた
猫たちは、冷めた様子で散っていく。

「はぁ~。」

食費とか暮らしている感覚は5人分なのに、こういうときは1人なんだよね。

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