21:30の要求

猫が考えていることはわからない
そもそも猫はかんがえてなどいないのかもしれない

ユメちゃんは、ほぼ毎日同じ時間に窓に向かって
あーあーと一生けんめい鳴きはじめる

雨の日も、雪の日も、風が強い日も
窓に向かって鳴きはじめる
てっきり、外に出たいのだと思った私は
要求されるがままに
窓をあける

うちにはまあまあ立派なキャットランがある
猫たちに外の空気を感じてほしい
外で遊ぶ猫たちは輝いている
だから安全に外を楽しめるように
頼んで作ってもらった小さな猫の庭

「どうぞ、いってらっしゃい」
雇われのドアマンのように丁寧に窓を開けるが、
開けたとたんに興味を無くしたのか
外には目もくれず
私を見上げてその場を離れる

まるで欲しいものを手に入れたら
それだけで満足してしまうかのように

私は、「ふぅん…」とため息をつき
窓を閉める

1分も経たないうちに
デジャブのように同じことが繰り返される
私は、結末がわかっていながらも
また丁寧に窓をあけ、すこし換気したぐらいにして
窓を閉める

窓のそばで外に向かって要求しているから
外に出たいのだろう
というのは、まったくの人の先入観

ユメちゃんはいったい何をしたいのか?
私をからかっているだけなのか?
ほかに目的があるのか?
未だに真相はわからないまま

今日もまた21:30
今日こそは外に出たい要求だろうか…

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