何度この痛みを味わえばいいのだろうか…。
忘れたころに音もなくやってくるコイツ。
はぁ…。しかしなにもこんな年末にやってこなくても…。
私が何したっていうのよ…。
高校のときからのつきあいで、いまだに腐れ縁。
はじめは衝撃的な痛さにぐうの音も出なかったけれど、最近はもう慣れたものである程度の対処ができるようになった。慣れって本当にこわい。コイツには慣れたくもないけど。
世間には弱っている飼い主を心配して寄り添ってくれる猫がいるらしい。私もちょっとだけ期待したが、その期待はすぐに消し去られることになる。
やっとのおもいでベッドから起きて、イライラ棒に挑戦している気分で慎重に階段を下りる。ちょっとでも触れるとからだに電流が流れるような痛みが走る。
階段を無事に下りきったわたしに、ごはんを待ちかねていたユメちゃんからの容赦のない催促…。上半身を持ち上げて手を広げ、シャキーンと爪を出したら、私の太ももという大木をギュッとつかむ。異なる二つの痛みが別々の震源地から発生すると、一気に目が覚める。
呼吸を整えて、なんとか朝ごはんのミッションを終えて次なるトイレ掃除のチャレンジへ。ここでもイライラ棒が再登場。上下に振られれる難しい場面だ。
慎重に遺跡を発掘しているかのように、四姉妹のからだから排出された元気に過ごした証を掘り起こす。いつになく慎重に、すこしでもおかしなものに触れたりすれば、またあの稲妻のような痛みが走る。
そのとき、廊下のむこうから猛ダッシュでこちらに向かってくるものが…。あまりにも突然で身構えるような距離もなく、ただ目をつむって歯を食いしばることしかできなかった。
幸い四姉妹でいちばん身軽なヒメだった。ダッシュでこちらへ走ってくると私をロイター板のようにして弾みをつけると、その先にある洗面台へ着地。
ひとつひとつの動きを確認しながら慎重に慎重を重ねていた私の努力はいったい…。
「ピキーーーーーーーー!!!!」と大袈裟なアニメの効果音が聞こえてきそうな痛みでその場に崩れ落ちた。
猫と暮らしていて、いちばん厄介なのは、このぎっくり腰。
つらい痛みと猫の無邪気さが決して出会ってはいけないものだから。



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