【猫エッセイ】 何でもない日がいちばん幸せ

人間はまったく愚かなものだ。
つらいこと、悲しいこと、心配なことが起きてはじめて
日々の平凡がどれだけ幸せなことかを知る。

慣れもまたおそろしい。
せっかく日々の幸せに感謝したのもつかの間
2日もすればまたいつもの平凡に戻ってしまう。

早朝4時半のモーニング猫コール。
スマホのスヌーズ機能よりも優秀で
いくらコールをかわしても、起きるまで決して終わらない。

ついに根負けしてしかたなくベッドから出ると
こんどは、ごはんごはんの大合唱。
文字通り、食い気味でごはんを食べ終わると
次々に朝のトイレタイム。
そして、開放感からのトイレハイ。
ここは陸上部の朝練なのかと思うほど。

その後も、キャットランに出せだの、ごはんが足りないだの
蛇口から水を飲みたいだのと、わがまま放題。
小競り合いがはじまったり、足もとでまとわりつくように
うろちょろしているのもいたり、いっさい我関せずで
窓の外を眺めているのもいたり。

ひとしきり、それぞれのやりたいことを終えると
満足した様子でゆったり毛づくろいをしながら
また眠りにつく。

「はーっ」とやれやれが混じったため息をついて
やっと自分のことをはじめられる。

何でもない、いつものことを繰り返せる毎日は
本当に幸せである。

こんな毎日がどんなに大切なのかをわかっていても
明日の自分はまた、やれやれとため息をつく。

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