軽快なリズムが洗たくの終了を告げる
どれよっと重い腰をあげて
しぶしぶ洗たく物を干す準備をする
キレイになることは好きなのだが
洗たくものを干す、たたむがじつに億劫で気が進まない
たっぷり洗たく機に放り込んで
満足げにぴっぴっとボタンを押した
数分前の自分を恨む
なんでここまで溜め込んだのか
こんなに洗たくする必要があったのか
そんな自分に文句を言ったところで
すでに洗たく物は干されるのを待っている
観念してこれまた重いかごをよっこらせと持ち上げる
高校生ぐらいの頃から花粉症もちで
自分で洗たくをするようになってからは
もっぱら部屋干しである
自宅の2階にホールとまではいえないが
洗たく物を干せるそれなりのスペースがある
そこに持っていくことさえ面倒と思うのだから
自分でも呆れてしまう
毎度同じことを思いながら
洗たくかごを持って2階へ行こうとすると
呼んだわけでもないのに
階段の入り口でモモちゃんが待っている
洗たくものを干すだけなのだから
猫と何か楽しいことをしようとか
猫にとってワクワクするようなことが
待っているわけではない
何も起こらないことぐらい
猫も承知のことだろう
それとも、そんなことはわかっていても
いつも何かを期待しているように待っているのだろうか
ワクワクしているようにも見えるモモちゃんに先導されながら
いつもの階段をのぼる
洗たく物を干しはじめると
足元のまわりをちょろちょろしながら
何かを要求するように
にゃーにゃーにゃーにゃー訴えている
何を要求しているのか悟ろうともしないのに
わかったような口ぶりで「はーい、はーい」と答える
物置と化している部屋の引き戸の前で
開けろとばかりに鳴いているので
はいはいと猫でも面倒なのがわかるような返事で
ちょっとだけ開けてあげる
モモちゃんは入ろうとせずに
こちらを見てひと鳴きし
また足元のまわりでまとわりつく
関西人でもないのに、思わず「入らんのかい!」
とツッコんでしまう
ひとおりの定番ネタが終わったぐらいにして
黒猫のサチ子がひょこひょこ上がってくる
追いかけっこをはじめたり
猫パンチを繰りだしたりと
ドタバタとドリフのセットチェンジのような
にぎわいになる
ただ洗たく物干しをしているだけである
干し終わるころには重かったかごも気持ちも軽くなる
そしてまた繰り返すのだろう





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