2年前の冬、雪がチラつきはじめた頃にわが家に迎え入れたクロ猫の『サチ子』
現在の暮らしに至るまでの道のりを振り返ると、彼女なりにいろいろ試しながら日々を過ごしてきたのだなと改めて感じることができました。その道のりを記しておこうと思います。
1. 保護からケージを出るまで
先住の先輩猫たちもいたため、はじめはケージでの生活。いままで自由に外の世界を走り回っていた彼女にとって、突然閉じ込められた小さな箱は不安しかなかったと思います。病院での駆虫や検査を受けてその箱から出てもなお、不安は消えなかっただろうね。1週間のゲージ生活は鳴きとおしの日々だったから声がつぶれないか心配でした。
2. 落ち着きと外の世界への未練
小さな箱を出てもそこはまた小さな部屋。それでも少し落ち着きを取り戻し、今度はその小さな部屋を確認してまわっていました。自分が隠れる場所はあるだろうか?どこから外へ出ることができそうか?などと確認していたに違いないでしょう。窓の外を眺める後ろ姿には、せつなさや彼女の意志に関係なく保護してしまった罪悪感までも感じるほどでした。
3. 先住猫たちとの交流
小さな部屋に慣れはじめて数週間が経つころには、先住猫たちからの一方的な確認も落ち着き、今度は自分から先住達を確認するようになっていきます。少しずつ距離をはかりながら相手が敵ではないこと、自分も相手にとって危険な存在ではないことを確認しあっているようでした。人からみたら数センチの差でも、彼女にとっては大きな距離が縮まった感覚だと思います。その数センチの違いを私も感じながら嬉しい気持ちで見守りました。
4. 安心な場所だと完全に理解する
保護して1年が経つころには、すっかり家の中での暮らしにも慣れてきました。先住猫と完全に打ち解けたという様子までは見ることはできませんが、お互いに良好な関係を築こうとしているように感じます。私のことは害のない人と認識してくれたのか、頻繁にお腹をみせては愛らしい『イエ猫』の姿を見せてくれるようになりました。
その姿はまるで安心して暮らしていますよと彼女が伝えてくれているようです。
5. ついにご飯に文句を言い始める
2年が過ぎた現在は、ノラ猫として外で暮らしていたころを忘れたかのような振る舞いです。相変わらず先住猫たちと群れることはありませんが、ケンカをするわけでもなく彼女の距離感でストレスなく過ごしているように思います。
イエ猫の悩みの一つとも言える、ごはんが気に入らず食べない問題。ついに『サチ子』もごはんに首をかしげるようになりました。あんなに出したごはんは何でも食べていたのに…。慣れというのは時に怖いものですね。
でも、ここまでくれば彼女も立派な『イエ猫』です。
あとがき
猫を保護して家の中で生活をさせることは、猫を外敵や事故、病気などから守ることできて寿命も伸ばすことができる。なにより幸せな暮らしができる。そう思う人は多いと思います。私も同じ考えを持っています。しかし、ときどき猫の意志とは関係なく保護してしまうのは人間のエゴなのではないかと考えることもあります。
でも、今の『サチ子』の姿を見れば、やはりイエ猫のほうが人も猫も幸せになるのかなと感じています。
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