秋晴れの朝
11月にしてはあたたかい日曜だった
散々悩んだ末、思い切って手に入れた一眼レフを試そうと
窓辺で寝ているユメ子に近寄っていく
ふと窓の外へ目をやると、玄関先で秋の暖かい日差しを浴びながら
ちょこんとうずくまっている子がいる
「あっ、あの子だ」
一眼レフを首にかけたまま、急いでごはんを用意する
(待っててね、すぐごはん持っていくから。動かないで日向ぼっこしててよ)
バタバタと玄関へまでの短い距離を急ぐ
驚いたあの子が逃げてしまわないよう
一呼吸おいてゆっくりドアをあけた
ひょっこり現われるようになった
茶白の男の子
はじめて会ったとき、ふっくらこそはしていなかったが
野良として自由にしぶとく生きている様子が感じられた
それからほんの数週間なのに
今日私の前に現れたあの子は
骨が分かるほど瘦せ細り、目ヤニや汚れで顔はボロボロ
鳴くのも精いっぱいの状態だった
野良生活は本当に厳しい
たくましく狩りをして生きていける子もいれば
狩りが苦手だったり、弱くて縄張りから追い出されたり…
この子は外では生きていけない
このままだと死んでしまう
ウェットフードを嗚咽しながら
頑張って体に押し込もうと
必死にごはんを頬張る
人間が怖くて
力を振りしぼって威嚇している
「おまえなんかに捕まらないぞ」
「おまえなんか信用してないぞ」
「もう限界なんだよ」
「助けてほしいんだよ」
「でも、怖いんだよ」
そう訴えているように思えた
保護しないという選択肢は私の中になかった
4匹の先住猫もいるのに
迷いはそれほどなかった
か弱い威嚇はできるが
抵抗して暴れる力は残っていない
怖いね、怖いよね、
でも、まぁとにかくお家入ろうね
もう大丈夫だよ
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