夜も涼しくなり、エアコンをつけなくても
寝れるようになったからすこしはいい睡眠が
できるだろうと思っていた。
「みんな寝ますよ」と一声かけて
階段をあがると、いつもいちばんに後をつけて
きてくれる黒猫のサチ子。

だるまさんが転んだ。
一定の距離を保ち、振り返る度に
遊びのルールを知っているかのような
見事な静止。

しかも目線は合わせない。
自分が小さい頃に遊んでいたころの
そのしぐさそのまま。
あたし、遊び方教えたっけ…?

昔なつかしい遊びを思い出しながら
寝室へ向かう。
ベッドの隅を陣取るのはサチ子。
私も横になり、電気を消すとモモちゃんの
いつもの儀式がはじまる。

ひと通りの寝る前のルーティンが終わると
みんな一度ベッドからいなくなる。
この謎はいまだに解けていない。
広いベッド、ゆっくり眠れるはずなのに…
枕の位置を調整してみる。
右を向いて、しばらくして左に向きを変える。
そして仰向けに戻る。
これを繰り返す。
眠れない。
熱帯夜でエアコンをつけて人工的に冷たい空気で
部屋を冷まさなくても、涼しい風が心地よく
吹き抜けていく。
なのに、眠れない。
そうこうしていると、夜のパトロールなのか
猫たちなりの夜のルーティンなのか、
ぽつりぽつりとベッドに猫が戻ってくる。
足もとで眠りにつく猫たちのほうへ
あたまを向けるように逆さまになる。
枕に足をのせて猫の体に顔をうずめる。
自然と眠りに落ちていく。
心地よく、睡魔に導かれるように。
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